プラトニッククラウド

昨日の事を言うと、鬼が寂しげに微笑む。

10. 恥と雑誌

今日は右往左往だった。「芸人芸人芸人」というムック本を買おうと書店5軒にコンビニ9軒を回ったが、遂に買うことは出来なかった。芸人の街、下北沢で探したのが良くなかったか。
探しているときに気づいたのは、週刊誌の下世話さだ。写真週刊誌など買ったことがなく、表紙をまじまじと見ることもほとんどないのだが、目当ての雑誌を探すときには否が応でも目に入った。確かに、下世話な情報は人の興味を惹く。実際私も全く興味をそそられなかったと言えば嘘になる。ただ同時に、一生買わないだろうなぁとも思う。レジに出すのが恥ずかしいからだ。
見知らぬ人に対する恥。自分の顔も名前も知らず、二度と会うことのない人への恥の感覚は人によって大きく違うのだなぁと最近実感する。大学に行くのに身だしなみを整える必要はないという趣旨のツイートを見た。その理由としては、セックスアピールの相手が居ないからだという。別にその価値観を否定する気はないが、共感は全くできない。知り合いに身だしなみの整っていない状態を見られるのは当然嫌だし、そうでない人の前でも、同じくらい嫌だ。
似たような別の状況設定も考えられる。例えば、誰も自分のことを知らない異国の地で、普段よりもインモラルな行動を取るかどうかという話もこれに近い。実際、そういう行いをする人は一定数いる。
こういうときに抱くのは恥というよりも美意識に近いのかもしれない。損得感情ではなく、純に高潔たろうとする自意識が、他人に対する恥として作用している。その自意識は、「有名人のゴシップを嬉々として知ろうとする私」が自分以外の何者に晒されることも許せないのだろう。明らかに自意識過剰ではあるけれど。