プラトニッククラウド

昨日の事を言うと、鬼が寂しげに微笑む。

27. 花火と星座

現代の花火には、儚さという言葉は似合わない。言うなれば、ド派手ファンタスティックファイアーワークスショーといったところだ。

開いたと思えばすぐに消えてしまうのが花火の醍醐味だとするなら、消える前に次の花火が打ち上がる花火大会はなんのためだろう。ファンタスティックショートしては楽しめるけれど。

火花は火が自ずから花の形をとったものだけれど、花火は人間が火を花と化している訳で、それを何万発も揚げれば人工の匂いが自然と立ち込める。

10m先をも朦朧とさせる花火の烟は空を覆うようにして流れる。ただでさえ淡い、都会の夏の星座は影も形もない。ましてやそこからぶら下がって花火を見下ろすことなど。