プラトニッククラウド

昨日の事を言うと、鬼が寂しげに微笑む。

22. たなうらと特権

手の表側と言われると、つい手のひらを思ってしまうのだが、よく考えれば「たなうら」という語が手のひらを指すことから、明らかに手の表は手の甲であった。
そもそも、手の平は形状、手の甲・足の甲は様態、足の裏は相対的位置を示していて、対応関係としては綺麗ではない。せめて、手の裏・手の甲、足の裏・足の甲だったらまだ良いのにとは思う。
たなうらは良い言葉だ、たなごころほど温かみを推してこない。むしろ影のある感じで堪らない。文明の利器は、原始的道具も、人間の手の表で扱われることはない。行為という特権はたなうらに与えられている。