プラトニッククラウド

昨日の事を言うと、鬼が寂しげに微笑む。

13. 深夜と安寧

昼夜逆転というのがこうも簡単に起こるとは、大学生になるまで分からなかった。昔から深夜まで起きている学生だったことには違いない。家には誘惑が多く、集中して何かに取り組むには、テレビも付けられず本を読んだら眠くなるような時間がうってつけだった。事実、受験勉強なども日が出ているうちや、親が起きているうちにしていた記憶がほとんどない。日付を回った頃から始まるのが自分のやり方だと信じていたし、別にそれは間違ってはいなかったと思う。
しかし、どう足掻いても1限に出なければならなかった中高の頃と違って、大学は時間割が日によって変わるし、大教室の講義は出なくてもなんとかなることが多い。そうなったら、昼夜逆転は当然の成り行きだった。
深夜に起きていても、ラジオを聴いたりすることは全くと言って良いほどない(大抵、タイムフリーで翌昼聴く)。ただ1人、無音の中でパソコンやスマホなどを見つめるだけだ。孤独と言ってもいいが、心中は穏やかだ。外が明るみだすまでは、時間がいつまでもあるような感覚と、なんでも出来そうな万能感という二つの安寧を甘受している。この感覚は嫌いではない。